メーカーから直送で、ボンネット等の保護シートも着いたままの状態です。
色をきれいに塗る為に、
ガラス、バンパー、ボンネット、ドアも内張りも、小さな部品も、
外せる所はみんな丁寧に分解していきます。
こうすることで、パーツ同士で重なっている端の部分、細かな部分もきれいに仕上げることが出来ます。
全塗装に限らず、 塗装を行う時は『調色』をします。
予め用意された色を塗るのではなく、多種類の色を調合して作ることを『調色』と言います。
なぜ調色が必要なのか?
それは、メーカー指定の同じ色でも 一台一台が、微妙に違うからです。
例えば絵の具で肌色を作ろうと思っても、手の甲に乗せて全く同じ色にするのはとても難しい!
その微妙〜〜〜な加減こそが 職人技なのです!
ちなみにボルボに使用するこの黄色は、
白、黄色、オレンジ、緑などが配合されています。
外せる部品を全て外し、 パーツごとに分けた状態で、 VOLVOの部品をブースに配置。
まずは細部まできれいに塗れるポジションをつくります。
頑丈な扉を閉めてチリや小さいゴミもシャットアウトした後は、
ブースの中全体が巨大な空気清浄機のようになります。
強力な吸引で空気中の埃や塗装中の余分なミストを吸い取りながら、細心の注意をはらい塗装します。
1回目は、バンパーやボンネット。
2回目は、各ドアが入りました。
何度も丁寧に塗り重ね、 一つの物が仕上がります。
ボルト1本1本や、 ウォッシャーノズル等の 小さな部品も塗れる物は全て 細かく丁寧に塗りました。
塗り終わった後は、 ブースの中を適正温度に上げて 高温で乾燥させます。
ブースは、巨大空気清浄機から、巨大な窯の役に変わるのです。
次は、ボディの塗装です!
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塗装前の準備として、 下地作りと養生があります。
塗装前の白いボディに艶がないのは、 次に塗る塗料を密着させ、
仕上がりを綺麗にさせる為の 下地作りをしたからです。
そして、車内に色が入らないように 穴や隙間を全て塞いで養生。
この時、縁の細かい所もきれいに仕上がるように紙を貼っていきます。
養生の作業も、重要な過程の一つです。
きれいに細かく丁寧に行うことにより、上質な仕上がりに繋がります。
(写真:右上 黄色い紙素材の所です。)
準備ができて、 いよいよボディの塗装です!
塗装をする際、 スプレーガンに塗料を入れる時は
ストッキングのような素材の物をセットして、
塗料の中にあるかもしれない 小さな小さなゴミも
塗装した時に付着しないように、取り除きながら注ぎ入れます。
(写真は、左側の真ん中)
白いボディに塗料をスプレーして だんだんきれいに色が変わっていき、
一通り黄色に染まるとまた一周。
何度も塗り重ねると 黄色がしっかりした色になり、 艶が出てきました。
これだけで、もう感動です〜!
更に、最後には『クリア』という、
マニキュアに例えるとトップコートのような特殊なものを塗って仕上げます。
全て塗り終えたあと、 じ〜っくり観察……。
小さな 小さな ごみやチリでも、 塗装箇所に余計なものが付いていないか
最終的に入念なチェックをします。
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塗り終えたパーツを 元通り、組み付けます。
ボルトの頭にも1本ずつ色が塗られているので、特殊な工具を使用し、傷がつかないように締め付けます。
新車の状態でも、実はよく見ると
いろいろな箇所の左右のバランスが微妙〜に違っていたりするものなのですが、
職人さんはそういう、細かいところにこだわる!
板金やさんも、塗装やさんも、 自分の仕事に妥協はありません。
美しく仕上げるため、ひとつひとつの工程を大事に積み重ね、完成するのです。
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全塗装完了です。
組みあがった後、きれいに洗い、色、塗り、塗装状態、組みあがりのバランス、
窓や電気廻の動作確認等、最終点検に合格し、ディーラーへ納車されました。
全塗装の工程をざっくりとご紹介しましたが、
修理においての塗装を行う場合も、その個所周辺に施す過程は、同じです。
料金をお安くする場合は、パーツの脱着を少なくしたり、塗装の範囲を狭めてという方法があります。
仕上がりや経年状態を考え、塗装前の下地処理はきちんと行います。
もし、どちらかで低価格な全塗装をしてもらう場合は、下地処理を含め、
こういった過程をどこまで施していただけるか確認をして、納得のいく塗装をしてもらいましょう。