車のタイヤを着ける ホイールナット “今と昔” 締め付け方の違い
昔の日本車は理にかなった造りだった
1995年 平成7年三菱ジープ
今の自動車は全車輪、右締めでナットを締め付けていますが
昔のジープやトラックはホイールナットの締め付けが左右で違います。
車体左側は左締め、右側は右締めになっていました。
左側のナットには “L” の文字が刻印されていました!

右締め

昔と今の締め方の違い 逆ネジって何?
なぜ今は右締めに統一したのか、その違いを少しお話しします
タイヤの締め付けには、実は“規格の違い”があります。
今、日本で使われているのは ISO方式。それ以前は JIS方式 と呼ばれる、日本独自の方式でした。
JIS方式では、運転席側(右側)は普通の右ネジ、助手席側(左側)は逆ネジになっていました。
これは「走るときの力で、もし締め忘れがあっても自然に締まっていくように」という、とても理にかなった工夫だったのです。
【左後輪タイヤのナットが緩みやすい理由】
ところが! 現在主流のISO方式は、左右ともすべて右ネジ。
走行中、特に左側のタイヤは力のかかり方が「緩む方向」と同じになってしまいます。
つまり、もしナットが仮留めのままだったり、しっかり締められていなかった場合、走っているうちにどんどん緩んでいってしまうのです。
タイヤは、脱着した直後が一番外れやすいもの。
特に冬のスタッドレス交換時期には、全国でタイヤ脱落の事故が毎年必ず起きています。
小さな軽自動車のタイヤでも、人に直撃すれば命に関わる大事故に…。
まして大型トラックのタイヤとなれば、その被害は想像以上です。
しかも外れやすい場所は決まって 左側の後輪。
日本は左側通行なので、左後輪にはカーブで大きな負担(内輪差の力)がかかります。
海外の右側通行に比べ、日本は特に左側に厳しい環境なんですね。
[JIS方式] と [ISO方式] タイヤに関わるもう一つの大きな違い
さらにJIS方式とISO方式の違いには、もうひとつ大切なポイントがあります。
• JIS方式は、ダブルタイヤの場合 インナーとアウターを別々のボルトで締めていた ため、片方が外れても、もう一方は残る仕組み。
• 一方ISO方式は、 2つのタイヤを1本のボルトで共締め します。だから万が一外れれば、2本同時に外れてしまうリスクがあるのです。
こうした背景を知ると、日々の点検や締め付け確認がいかに大切か、改めて実感しますね。
ネジの形や規格がどうであっても、最後に守れるのは「人の手」と「心配り」。
丁寧に締め直し、しっかり確認しておけば、大切なお客様や仲間を事故から守ることができますね
